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遍路紀行 22日目 (1997年3月18日) 晴れ

行程

宇和島リージェントホテル~41番龍光寺(北宇和郡三間町)~42番佛木寺(同)~43番明石寺(東宇和郡宇和町)~宇和パークビジネスホテル(同)

歩行距離 28キロ (延べ690キロ)

この日の出来事など

1.朝7時20分宇和島市のホテル出発。早朝のアーケード大商店街を抜け、JR宇和島駅を左手にみて国道56号線を北宇和島駅方面に向かう。宇和島市中心部は大都会である。案の定右折左折の目標がわかりにくい。町を外れたところで北宇和島駅通過。この駅は松山~宇和島を結ぶ予讃線と土佐窪川宇和島を結ぶ予土線の合流・分岐駅だ。同駅前で56号線と別れ右折して県道57号を行く。光満川と予土線を絶えず右手まじかに眺めながら直登坂の車道を行く。通りかかった工場内から20代の青年が駆け寄ってきて缶コーヒーのお接待をいただく。老人だけではなかった。お接待をいただくのは。心があったまる。8時20分、梅林口なるバス停通過。光満川と同じ光満という集落を過ぎれば北宇和郡三間町域に入る。良い思い出をくれた宇和島市とこれでお別れだ。

2.午前9時、41番龍光寺打つ。納経所の僧侶の顔の険しいこと。悲しい。僧侶が守らねばならぬ戒律の一つに布施がある.。和顔施の教えを彼が知らぬ筈はあるまい。にこにこ顔。穏やか、和やかな顔。一言の会話も無し。有難うございましたの言葉を残して去る。

3.42番仏木寺も41番と同じ町内で3キロ弱と近い。午前10時、42番打ち終わる。納経所の僧侶に43番への道を尋ねる。「ご苦労さん。気をつけてな」。

4.43番明石寺へは遍路古道の山登りである。歯長峠越えだ。10時45分上ぼり口に着く。11時過ぎ県道らしき車道を横切る。県道の視界の先にトンネルが見える。422メートルの歯長トンネルであろう。道路脇の遍路道標に添え書きがある。「楽をとるか、苦をとるか、己の胸先三寸」。高さ450メートルの峠越えか、トンネルを行くか。峠越えは75度傾斜の急坂らしい。この遍路あてのメッセージはいささか遍路を揶揄気味で愉快ではない。それでは楽を有り難く頂戴いたします。トンネル4分で通過。東宇和郡宇和町に入る。歯長トンネルは狭く、当然歩道は無い。幸い、通行車無く怖い思いをせずに済む。

5.トンネルを出ると自動車道は九十九曲がりのように右に左にクネクネとカーブしながら下ってゆく。反対に遍路古道は転がるような下り坂で、自動車道を一直線に串刺しして山を下る。ゆえに、頻繁に自動車道にぶつかり横切る。距離は短縮できるが、とにかく坂の傾斜がすごい。滑り台である。ズボンがこんなに泥んこになったのは初めての経験だ。宇和川を渡る。橋は歯長橋である。渡れば県道29号に突き当たる。歯長峠口バス停がある。これより宇和川に沿い緩い下りの県道を行く。宇和町は葡萄の産地か、直売所が県道の至る所にある。

6.午後12時40分、43番近くで常楽苑といううどん屋さんを見つける。”大師うどん”大盛を頼んだら、小生の顔がスッポリ収まりそうなお化け丼が運ばれてきて目を剥いた。わかめ,椎茸、茹で卵2個、色とりどりの蒲鉾で溢れんばかりの丼からうどんが湯気を立てている。大満足。600円。山門までこれも600メートルの急坂を一気に登り詰める。午後1時20分、43番明石寺打つ。

7.再び国道56号線に乗る。途中宇和町卯之町で伊予の有名な饅頭店である山田屋本店前を通る。本店がここに在るとは知らなかった。東海道線藤沢駅前の小田急百貨店に出店していて、贈り物にしたり自分で食したり、大好物の饅頭である。民芸、お茶屋風の上品な店構えで、何となく遍路に不似合いの感があったが、我慢できず飛び込む。甘みを抑えた淡い小豆色の薄皮一口饅頭。床几に腰かけて三個立て続けに食す。どうぞと出されたお煎茶がおいしかった。午後2時半、宇和パークビジネスホテルに着く。国道正面は食堂と土産売り場。ホテル部は国道裏側に事務所があった。ホテル内部は広すぎて廊下は迷路である。素泊まり一泊5000円。